syncro2-7

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明日は日曜。
浩平達はお昼過ぎまで練習で、その後街を案内してもらう約束をした。
インターハイ直前だったのが幸い。
いつもなら、ばっちり夕方まで練習なんだけど、今週はコンディションを維持する程度の軽めの練習なんだって。

・・・ホテルに戻って。
おかーさんに電話した。それが約束だったから。
私が浩平に会いに行くって言った時のおかーさん、何にも訊いて来なかった。
どうして、とか、何しにとか、ほんとに何にも。その代わり、夜必ず電話する事だけ約束をした。
ここんとこ私がイライラしてたから、浩平と離れちゃった事はやっぱりよくなかったんじゃないか、っておかーさんなりに心配してくれていたみたい。

「・・・で、どうするの？卒業したらこのみも一緒にそっちに行くの？」
おかーさんってば、ドッキリする事をあっさり言うんだ。
「そっちで進学するならするで、丁度いい家庭教師もいるし、がんばってみる？これから大変だろうけど」
家庭教師、ってゆーのはとーぜんお兄ちゃんの事。
その兄キは一週間前から、例の写真家の先生と、またダイビングに出かけてる。

まだ、決めた訳じゃないんだけど・・・
もしも、ほんとに進学するんなら、私はあいつとは違って推薦で行ける訳じゃない。
浩平ってば、いともあっさり、こっちに来ればいいよ、だなんて言ってくれちゃってるけど現実問題は、かなりキビシイ。
それに、あいつにただついて行くためだけに進学決めちゃうなんて、動機としてはかなり不純だともその時思う。
私も・・・私のやりたい事、早く見つけなくっちゃいけないよね・・・。

それにしても。
今日のあいつってば、ずいぶん優しかったな。
どうしてこの間帰って来た時には、こんな風に話が出来なかったんだろう。
『おれはおれのやり方でお前のこと、守りたいって思ってるから』
・・・
まっちゃんも、萩原君も近くにいたのに。
あいつにしては珍しく、まっすぐに思いを伝えてくれた・・・。

「良かったね、このみ」
ベッドに腰掛けてまっちゃんが言う。
「ニヤけちゃってるよ、顔」
「よく言う！そういうまっちゃんだって」
みんなで食べたラーメンは、とってもおいしかった。
四人で一緒のテーブルについて、お互いの学校の様子とか、浩平の前のクラスメートの事だとか、いつまでも話はつきなかった。
「萩原君って、とってもいい人だね」
「このみもそう思う？」
「思う思う！親切だし、雰囲気優しいし」
「だよねだよね！私もこっちで進学しようかな」
「えっ！？」
「うーん・・・マジ迷う」
「ちょっ・・・ちょっとぉ・・まっちゃん」

・・・
まっちゃんには彼氏がいるんだよ。
これが原因で2人が別れちゃったりしたら・・・。今のまっちゃんの彼氏だって、萩原君に劣らないデキた人なんだから！

「あんないい人が友達なんだもん。森山君、何の心配もいらないね」
あの、マネージャーさんのことを言ってくれてる、ってすぐに判った。
「やっぱ・・・そうだよね。あの人、やっぱ浩平の事・・・」
「だけど『おれはお前のこと、守りたいって思ってるから』なんて言われちゃったら、あいつなんか出る幕ないよね♪」
「あーっ！やっぱ聞いてたんだ！」
「がんばんなよ。大好きな人とは、一緒にいたいって思ってとーぜんなんだから」
私って、つくづく思ってる事が顔に出ちゃうタチらしい・・・。

――
自分の気持ちで生きていく・・・。
今の私の気持ちは、やっぱり浩平が好きなんだ、って事。
出来ればずっと一緒に・・・いたい、って事。

『おれは、お前がいるからがんばろうって思ってるんだぞ』
小さく聞こえたあいつの言葉。
もしも、それがほんとなら・・・
そんなあいつが、心おきなくがんばれるように。
好きな人が、前に進んで行けるように。
私・・・傍にいてもいい。
あいつの事が好きだから。やっぱり・・・一緒にいたいから。

「私も・・・がんばって、みようかな」
「ねーねー、受験勉強するんならさー、お兄ちゃんに家庭教師頼んだりする？だったら私もー！授業料ちゃんと払うからー！」
「・・・まっちゃんってば」
実は、それが目的だったワケ？
・・・

・・・To Be Continued.

　　　　